離婚前に行くと決めた最後の家族旅行は、朝寝坊からスタートです。
いつもの事ではありますが、毎朝妻と子供達を起こすのは僕の役目で、2度寝も予測して早めに起こしてあげるのが毎日の楽しみでもありました。
でも、今日は起こしませんでした。
いつもの妻への起こし方は、肩を軽くたたきなかがら起こしてみて、起きないときには布団の中にもぐって抱き着いて、朝ですよって声を掛けるのが定番の起こし方でした。
うぅーん。。。
今何時?
わかった、すぐ起きる・・・・。
といいながら、すやすやと2度寝するのがなんとも可愛くて。
いつもその顔を眺めているのが好きでした。
でも、今日からはそんな起こし方も出来ないかな。
起きるまで待ってみようかな。
なんて思っているうちに9時くらいになっていました。
「おはようございます。」
妻が起きて来ました。
敬語での挨拶が他人行儀で胸に刺さります。
今日の一日をどんな感じでやっていけばいいのか。。。
妻の様子を伺いながら、朝の準備を始めるのでした。
旅行中の妻はとにかく明るくて、いつも通りか、それ以上というくらい僕にも話しかけてきます。僕はそのテンションについていけず、自分でもわかるくらい態度がぎこちない感じでした。
妻はそれをわかってか、わからずか、明るい笑顔で僕にも、子供達にも接していました。
そんな中で、偶然ですが2人きりになるチャンスがあったので、勇気を出して聞いてみました。
「あまりも明るすぎてどう接したらいいか戸惑うんだけど。」
でも、それを聞いた妻はニコリと笑顔を返してくれただけでした。
妻は子供達の写真をデジカメやスマホを使ってとにかく沢山撮影しています。
子供達との思い出作りに一生懸命のようです。
そんな感じで旅行は楽しく進んでいくので、僕もだんだんといつもの明るい夫婦に戻れたような気分になってきてとてもうれしくなってきました。
だから、僕も写真を撮ろうかなって思い、スマホを妻と子供たちに向けて、「写真を撮るよ!!」っていつもの感じで声を掛けました。
でもその時に妻は、それまでの笑顔が嘘のように突然真顔に戻って子供達から離れました。
どうやら、僕の写真には写りたくないらしい。
「子供達と一緒に写した写真を後でラインで送るからそこにいて。」
そう伝えると、少し考えてから子供達の近くに戻ってきました。
スマホを向けると、少しだけ笑顔になってこちらを向いたのでそのまま写真をとりました。
笑顔の子供達と、一緒に写った妻には先ほどまでの笑顔はありませんでした。
これが現実なんですよね。
もうすぐ離婚するんだって実感した瞬間でした。
「私は、子供達との楽しい思い出作りの為に、明るい夫婦を演じているだけです。あなたとの思い出を作る為にここにいるわけではないからね。」
そう態度で示された瞬間でした。
なんでこんな事になってしまったのかと思う。
「女の人というのは、一度冷めてしまった気持ちは元には戻らないものよ。」
なんの時に妻とそんな話をしたのか覚えてはいないけど、つまりはこういう事なんだなと、目の前の妻を見た今ならよくわかる。
もう、何を言っても彼女の心に僕の声は届かない。
そんな事を再確認した最後の家族旅行でした。
4月5日
明日は仕事を休んで区役所に離婚届をもらいに行きます。