みんなで旅行に行こうと思うんだけど。
離婚する事を子供たちに伝えたその日、夕食を食べながら僕は提案しました。
一番の理由は、妻とこれからどれだけ一緒にいられるかわからない子供達に少しでも思い出を作ってあげたかったからです。
あとは、自分のこころにケジメをつけたかったから。
やっぱりまだ妻の事が好きだし。
なぜ離婚するのか?
なぜ子供達を置いて行くのか?
考えれば考えるほど悪い事ばかりが頭をよぎります。
本当は、妻抜きにして子供達と僕で行きたかったけど、子供達がさみしいだろうからやめました。
妻はとても嬉しそうにしています。
「じゃあヒメセン行こうか!!」
妻からの提案です。
ヒメセンとは、姫路セントラルパークの略称で、車に乗って放し飼いの動物を間近に見る事が出来るサファリゾーンが人気の観光スポットです。
僕はおそらく小学生の頃に行った記憶がなんとなくある位。
妻は、大学生の頃に友だちと遊びに来た思い出があるらしく、若い頃に戻ったような気持ちなのか言葉も軽やかでした。
車の中でどんな話をしたらいいのか。
どういう態度をとればいいのか。
僕はギクシャクしないようになんて考えてはいましたが、一方の妻はスッキリした顔で美味しそうにごはんを食べていました。
妻は僕らを捨てて家を出て、新しい生活が出来る事をワクワクしているんだね。
残された僕と、子供達は、これからの生活に不安で一杯なんだよ。
僕はとにかく明るい雰囲気を壊さないようになるべく笑顔でいられるように努力しました。
子供達の不安を少しでも取り除けるように。
久しぶりに3人の子供達と一緒にお風呂に入りました。
3人とも、いつもの笑顔でいつも通り楽しく話をしながらお風呂に入りました。
妻は、リビングでテレビを見ていました。
お風呂から上がった時に、バスタオルが無い事に気が付きました。
いつもタオルを忘れては妻に持ってきてもらうのが、定番になっていたことに気が付いた僕。
いつもなら、何も言わなくても準備をしてくれて、「ありがとう」って言うのが我が家の定番でした。
でも、きょうはバスタオルがありません。
子供達の下着やパジャマの準備も、いつもならしてくれていたのにそれもない。
僕は、洗面台のタオルを使って自分の体をふいてから、バスタオルを取りに行って子供達に渡しました。
そして衣装ケースから、子供達のパジャマを準備しました。
これからは自分でするんだよな。
当たり前だった事が、当たり前では無くなっていく事を実感した瞬間でした。
妻はとにかく明るくて、今まで悩んでいたことがふっきれたのが嬉しいみたい。
明日はどんな旅行になることやら。
そんなことを考えながら、子供達3人と一緒に寝ました。
4月4日
明日家族旅行に行きます。